「だからね、思うわけですよ」
放課後の教室。日の当たる席の前後に向かい合う形で、俺とコイツはいた。
部活が無い水曜日はいつも放課後、教室に残っては他愛もない話をするのが決まりになっていた。今日も然り。
唐突に切り出されたコイツからの話題。
「だから主語を言え、馬鹿」
呆れて溜め息を付けば、コイツの顔が歪んだ。
また馬鹿って言う…等と一人ごちる。
「…跡部君はね…永遠の愛って信じる?」
暫く口を尖らせてぶーたれていたけれど。また急に本題には入りだす。
コイツの言葉に一瞬言葉を忘れて、ポカンとしてしまった。本当に唐突すぎる。めちゃくちゃだろうが。
文句を言いたくなるけども、言ったって直りゃしねぇからもうわざわざ言ったりしない。それだけ俺とコイツの付き合いは長かった。
「急にどうしたんだよ」
「んー」
反対に質問を返せばコイツは眉を寄せて悩ましい表情を浮かべた。
それから少し考えてからまた俺を見た。それから困ったように笑う。
「別に?ただ跡部君はどうなのかなって」
そう思っただけ。苦笑混じりで返された答え。でもその中にも不安の色が見え隠れする。
俺はそんなコイツに挑戦的な笑みを浮かべて「さぁな」と答えた。
そうすればそっか…なんて淋しげな表情を浮かべる。
「お前とだったらあるかもな」
あまりに悲しそうにするから、また言葉を続けた。
最後に言った言葉はあまりにもちいせぇ声だったが、どうやら聞えたようだ。
「えっ、えぇ?!あ、跡部君それって…!?」
目の前には顔を真っ赤にしたコイツの顔。
その顔を見て"愛しさ"を感じた。