不二のジャージを着ているがとっても嬉しそうで
手を思いっきり振るを見るのが辛かった。
そして、不二に嫉妬してる自分が嫌だった。
Always...
-under study...-
部活もようやく終わって、今俺たちは不二ん家に向かってる。
その間もは不二と楽しそうに話していた。
「あの本、感動したよ」
「でしょ?私なんて泣いちゃったよ」
さっきから俺の知らない本の話で盛り上がってる。
見せ付けられてるようだ。
なんか俺って邪魔って感じ……。
そう思いながら、石ころを蹴った。
俺はその石ころをじっと見詰める。
蹴られた石ころはころころと前に進んだ。
その石ころを追うように歩く。
「英二?」
「にゃ、にゃに!?」
不意にに呼ばれた俺は何か変てこな声をあげてしまった。
すると、が上目遣いで俺を見上げる。
「あの、ごめん……」
そして、は一言俺に謝る。俺はそれを見て「え、えぇ!?ど、どうしたんだよっ?」と驚いた声をあげた。
すると、は申し訳なさそうに、俺を見る。
「だって……つまらなかった、でしょ?私と不二ばかり話してて」
あ……俺って、気を遣わせてたんだ。
本当は俺、にこんな顔させたいわけじゃないのに。
そう心の中で悔やんだ。
もう一度を見やると、困ったような顔をしている。
そして、俺は口を開いて言った。
「そんな事にゃいよん?」
有りっ丈の、出来る限りの笑顔で俺はに言う。
俺に出来んのは、なんでもない風にすることだけだから。
だけどその言葉を聞くとは「別の話しましょ」と小さく笑った。
そんな気まずい中、不二の家に着いた。俺は、不二の姉ちゃんに挨拶をして、部屋へと入る。
は不二の姉ちゃんに「お邪魔します」と頭を下げると、俺のところへやってきた。
そして「良く来るの?」と聞く。俺は頷くとは、ふーんと呟いた。
「さすが不二。綺麗にしてあるんだね」
「、不二ん家くんの初めてなの?」
「うん、初めてよ?て言うか、男子の家って初めて」
俺はそうなんだ、と心ん中で呟いてを見ていた。
するとはサボテンに目をつけ、サボテンの近くに行く。
「綺麗に育てられてるんだな〜」
はサボテンを見て、優しく微笑む。
俺は「そだね」と呟くような声で同意して、の見ているサボテンを見ていた。
……ちらっと、を見つめる。
の表情は学校で見せるようなあの顔じゃなくて、なんだか大人びて見えて、俺は目が離せなかった。
すると急にはこっちを見てきた。
必然的に目が合う。
「………」
それから、沈黙が続く。
互いに目を逸らす事無くて。
今なら言えるかも……。
俺のほんとの気持ち。
そう覚悟を決めて、ぎゅっと拳を握り締めた。
「あ、あのさ……」
俺は内心ひやひやで、言葉を紡ぐ。
は俺を不思議そうに見ていた。
すると、かちゃんとドアが開く音が聞こえる。
俺はバッとドアのほうに目をやった。
「お待たせ。二人とも紅茶で大丈夫だよね?」
すると、不二がにこやかに顔を覗かせていた。
俺たちは「うん」と頷くと、不二は「解った」と言ってまた行ってしまった。
パタン。
音を立てたドアを暫く俺は見つめていた。
「英二?さっきの続きは?」
不二が出て行ったあと、横から声がしてびくっとする。
横目で見やると、が不思議そうに俺を見ていた。
「え!?」
思わず大声を出す。
そんな俺に驚いたらしく、の身体が小さく揺れた。
「にゃ、にゃんでもないよん!」
「……そうなの?」
「うん!」
俺の言葉に、は少し納得がいかないような顔をしていたけど、俺はそれに気づかないふりをして、サボテンを見た。
「……じゃあさ、勉強しようよ。不二に全部聞くって言うのも悪いしね」
サボテンを見ていた俺に、ね?とはいう。
そして持ってきた鞄から課題プリントを取り出した。
俺も続いて座り、同じ様に課題を取り出す。
それからすぐして、不二が紅茶を持って入ってきた。
カップの中から、湯気が空を漂う。
そんで、アップルの良い香りが部屋中を包む。
そして、不二がはい、と言いながら俺の前に紅茶と出す。
俺はそれを受け取ると、一口飲んだ。
コクンと、程よい甘さがノドを流れるように通る。
乾いた口の中が、一気に潤った。
美味しい。
お姉さんが淹れたのかにゃ?
だけど、一言文句を言うならば、熱い。
熱いのがいいんだろうけど、俺は悪いけど猫舌で。フーフーしながらじゃないと飲めないのが残念。
そんなことを思いながら、俺はまた一口紅茶を飲む。
すると横から歓喜の声があがった。
「凄く美味しい!私こんな上手に淹れられないわ」
「それ、姉さんが淹れてくれたんだ。後でラズベリーパイも持ってくるよ」
俺は不二の言葉に「やっぱり」と心の中で呟いた。
そして、二人の会話に混ざる。
「あ!不二の姉ちゃんのラズベリーパイすっげー美味いよん!!」
「そうなの?……楽しみ」
「だけど、自信なくしそうで怖いわ……」と呟くとはまた一口紅茶を飲んだ。
「さ、勉強しようか?は一体何所の辺りが解らないの?」
「ん〜……古典の此処なんだけど」
は課題プリントをパラパラ捲ってその部分を不二に出す。
不二はそこを覗き込んで、うぅん、と小さく唸る。
それから、も一度を見ると、笑った。
「あ、此処の所はね、難しく考えないで良いんだよ」
それからまたのプリントに目を通すと不二は、解説をし始めてはそれを真剣な顔で訊く。
暫く経ってはポンと手を叩き「そっかあ」と納得した。
「それで、英二は何所が解らない?」
不二は急に俺の方を向き、課題プリントを見る。
未だ真っ白な課題プリントを今更ながら手で隠した。
それをやっぱり見られたらしく、不二はクスクス笑って説明をし始めた。
「―――で、こうなるんだよ」
「如何してそうなんの?」
「……それを今説明したんだけどね?」
そう言う俺に苦笑交じりに言って、また説明を始める。
ほんとは解ってるんだ。
ほんとはもうとっくに理解してるんだ。
だけど、と不二が会話すんの嫌だから。
最悪なヤツで良いよ。
だって、如何してもヤダから。
が俺以外のヤツに笑うのは耐えらんないから。
最低なヤツで良い。だからそんなに嬉しそうに笑うなよ。
不二の好意に心の中で謝りながら、俺はぼんやりと課題を見つめていた。
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管理人:時枝 華南