「本当は、私……私も、英二の事好き」

か細い声で、確かにはそう言ったんだ。

夢かと思ったけど、幻聴かと思ったけど。

そうじゃない。

目の前には、顔を真っ赤にさせた愛しい人の姿。





Always...
-true smile-





「ほ、ほんとに……?」


俺は確認するように、聞く。
するとは小さく頷いた。
それを見て、先ほどの言葉が嘘じゃないんだと、確信出来る。
嬉しくて、嬉しくて今にも飛び上がりたいほどだった。
すると、はまた口を開く。


「……ご、ごめんね、私、素直じゃなくて。もっと、可愛い女の子になりたいのに……なのに、いっつも捻くれた事しかいえなくて」


は言いながら涙を手で拭う。
俺はそんなの姿を見て、何にも言わず、ただ力いっぱい抱きしめた。

強く、強く。

加減なんか知らないってくらい。
いっぱいいっぱい抱きしめた。


「え、英二?」

「そんなも大好きだからっ!!だから、泣かないで!」

「でも……英二には、もっと……可愛い女の子が、似合う」

「……俺はー、が良いの!!!」


くっさい台詞だな〜とか自分でも思うけど。
これは、嘘じゃないほんとの気持ちだから。
今はが居てくれれば良いって思うから。
俺はそんな気持ちをこめて、「だから、付き合って下さい」とに言う。
俺は抱きしめていた腕を、静かに離しての顔を見つめる。
そしたらの困りきった顔。


「こ、こんな私で良いの?」

「こんなが良いの!」


そして、口からこぼれるのは不安そうな声。
の瞳からは拭っても拭っても涙がこぼれる。
俺は、その涙を代わりに拭いながら、の言葉に頷く。


「いっぱい喧嘩するかもしれないよ?」

「良いよ!その度に仲直りするから」

「自慢できるほど、可愛くないよ?性格だって全然」

「俺はのこと可愛いって思うし、優しい子だって思ってる!」

「……料理だって、美味しく作れない。英二のほうがよっぽど」

「うんにゃ、あのときの卵焼きは美味しかった!」

「っ……それに……」


なんでそんなにムキになるのか。
そうやって自分を卑下してばっかりで。
の言葉は、止むことを見せる気配がなくって。
俺は無理やりにの言葉を遮って、「だからーが良いんだって!」と笑った。


「それとも、信じてくんにゃいの?」


俺はの肩を掴んで、続けて言葉を紡ぐ。
そして未だ伏せたままのの顔を覗き込んだ。


「……ううん、信じる……っ」


ポタポタっと目から流れる涙。
それをは、涙を拭いながら小さく呟く。
その一言がとても嬉しくて、俺はをまた抱きしめた。


「もう、ちょ〜好き!!愛してるっ!!」

「……私も、英二が好き、です」


は微笑んで、そう言った。



そう、俺はこの笑顔が大好きで。
ずっと笑っててもらいたいって思うようになって。
それで、いつの間にか自分だけに向けられたいって思ったんだ。
は知らないけど、俺はいつも、いつも、この笑顔に助けられて、励まされて。
そんで今の自分が居るんだ。
此れからも、一緒に居てほしいから、もう離さないかんね。





俺達は暫く互いを見つめ、笑い合った。

そして、沢山の星が光りだす頃、俺達は手をつないで家へと帰る。
何を喋ってかなんてあんま記憶に無い。
ていうか意識しすぎて、うまく言葉が出てなかったと思う。



でも、それでも握ったその手は家に着いても暫く離す事は無かった。










―Fin










おまけ



英二「おっはよ〜ん!!」

「あ、おはよ、英二」

不二「……今日は嫌がらないんだね、抱きつかれても」

「え、いや……その〜……」

英二「ラブラブなんだよね、!」










あとがき

加筆修正しても、短いものは短いままだった(汗)
でも、最後の回は英二君でどうしても終わらせたかったので……。

こんな稚拙な小説を最後までお付き合いくださいまして、有難う御座いました!










管理人:時枝 華南