今日は夢にまで見た、不二君とのデート。
空は快晴で、まさにデートには相応しい日になった。
私は黄色のカーテンを勢い良く開けて、大きく伸びをした。
「さ、今日一日良い日になると良いな!」
気づいた想い
*Noticed feeling*
私は待ち合わせに間に合うように、目覚ましをセットしていたので時間には、余裕を持って行動できた。
朝早くからバタバタしていたので、お母さんもキッチンに降りてくる。
「あ、お母さんお早う」
「・・・珍しい事もあるものね、がこんなに早く起きるなんて」
「あはは、ま、まあね」
どもりながら私はお母さんに悟られぬようにテレビをつけ、パンを頬張る。
・・・・・・そんな娘の様子を不審に思う母。
「・・・もしかして、デート?」
「ぶほっ」
ニヤっと笑って私の隣に座る母に私は慌てて言った。
「な、な、なわけないじゃん!!!」
「じゃあ何でこんなに早くから・・・なんか無いと意地でもお昼まで寝てるのに」
「と、午前中から遊園地で遊ぶ予定なのっ!!!!」
「ちゃんと、ねぇ・・・」
「ちょ、お母さん?」
そう言うとお母さんは椅子から立ち上がり、
一直線に電話のある居間まで行った。
や、ヤバイ!!!バレたら、からかわれる・・・!!!
咄嗟に思ったが、時は既に遅し。
私は止めに入ろうとお母さんの後に続いて居間へと急いだが、
そのときにはすでにお母さんはに電話していた。
ど、どうしよう!?
慌てる気持ちを押し込めて、不安げに自分の母親を見る。
「あ、ちゃん?」
『あ、おはようございます、おばさん・・・どうしたんですか?』
「なんか、が午前中から遊ぶとか行ってるけど・・・」
『・・・あ、はい。と遊園地に行くんですけど・・・それが如何したんですか?』
「あ、そうなの?ごめんなさいね、あの子何にも言わないから、ええ、じゃあね」
・・・・え?
「ごめんね〜ちゃん、ちゃん彼氏とデートかと思っちゃったけど、そうよねちゃんに彼氏なんてまだよねぇ・・・」
「う、うん・・・」
なんか最後のほうは喜んで良いのか悪いのか・・・複雑だけど。
バレずにすんで、に感謝する。
安心したと同時に、自分の携帯が鳴る。
・・・・・・開けてみると発信者はだった。
『アンタも馬鹿ね。あたしだったから良かったものの・・・とにかくおばさんは誤魔化しといたv(^^)ちゃんに感謝しなさいよ☆』
読み終わると私は、有難うとだけ打つと送信した。
「じゃ、行って来ます!」
「行ってらっしゃ〜い」
私は待ち合わせ場所の駅に余裕を持って歩く。
駅に近づくと、もう不二君は来ていて私は小走りで走り寄る。
すると、不二君はこっちに気づいていつもの笑顔で微笑んだ。
「お早う、」
「は、早いね・・・も、もしかして私、時間間違えた・・・!?」
「ううん、時間より、全然早いよ。僕が楽しみで早く来ちゃっただけだよ」
そう言うと不二君は微笑んで私に右手を差し出した。
「さ、行こう?」
「う、うん」
私は恥ずかしいながらもその手を取って、電車に乗った。
だからそのときの私は全く周囲など見えてなかったので、気づけなかったのだ。
「着いたー遊園地っ!!」
私は大はしゃぎで入り口へと向かってフリーパスを二枚頼んだ。
「―――円になります」
「あ、はいっ」
私は鞄の中から財布を取り出しお金を払おうとしたが、それは不二君の手に寄って阻まれてしまった。
私がきょとんとしているとにこっと笑って不二君はフリーパスを買い、私に手渡してくれる。
「はい、」
「あ、有り難う・・・あ、えっとお金・・・・っ」
「良いよ、僕が誘ったんだから」
「で、でも私が遊園地が良いって言ったのは私・・・」
「良いから。ね?」
その言葉は、私に有無を言わせない状態で、
私は悪いなと思いながらも、もう一度お礼を言ってさっそく二人で歩き始めた。
「全く〜〜!ああ言うときには甘えなきゃ!!!」
「・・・て言うか・・・何で遊園地で遊ぶのが目的なのに、不二とちゃんの後ろをこそこそ歩いてるわけ・・・・?」
「だって、尾行だもん」
不思議そうに質問する菊丸に、ケロっと答える。
「にゃ!?な、何で俺まで・・・っ!」
「・・・不二君の親友でしょ!?気になるでしょ!??文句言わな〜いv」
「まあ・・そりゃ多少は気になるけど・・・バレたらどーすんの!?」
「・・・逃げる!」
不二とが歩き始め暫くして、入り口から入ってきた
一見はたから見れば、初々しい一組のカップル。
「あ、一番始めはジェットコースターね!!行くよ、英二君!」
「ぜ〜〜ったいバレちゃうって!一緒に乗ったら!!!」
「大丈夫よ!だってあれだけの大人数の人が座るなら、最後尾に乗れば、絶対バレない!!安心しろ、は鈍感だから!」
「ちゃんの事じゃないって〜〜!!俺が心配してんのはー、不二!!!バレたら俺明日学校に来れない体になりそ」
「・・・・そしたら葬式には出てあげるから安心して」
真顔で言うに菊丸は大きな目を一層真ん丸くして、叫んだ。
「そ、そ・・・・」
「そう言う問題じゃないにゃーーー!!!」
「いーから、さっさと行くよ!見失っちゃう!!」
嬉しそうに菊丸の腕を引っ張るの親友で在ろう。
そして引っ張られながら本気で抵抗する不二の親友であろう菊丸。
「だって、せっかくフリーパス買ったのに、乗らなきゃ損じゃん。まああたしのお金じゃないから良いけどさ」
「う・・・っ」
「英二君のお金なんだよ〜〜??」
ニヤ〜〜として菊丸の顔の前にフリーパスを見せ、はワザとらしく「勿体無いな〜・・・・」と落ち込む。
そんな表情をさせられたら、何だか罪悪感がこみ上げてくる。
・・・・・・実際は、全然菊丸に非はないのだけれど。
「わ、解ったよっ」
「本当!?よっし!そうと決まれば走るわよ!!!」
「どわっ!!!」
言った瞬間急いでジェットコースターの前まで走り始めた。
引っ張られる菊丸の顔はジェットコースターに近づくたび、
どんどん青ざめていった事は言わなくても解るだろう。
「そろそろだね!」
「そうだね」
「ココのジェットコースター、恐いって評判なんだよ?」
「そうなんだ?楽しみだね」
私と不二君はジェットコースターを待っている間、そんな他愛も無い話をしていた。
・・・・・・そして、チラっと携帯を見る。
遅いなあ・・・・・・メールに気づいてないのかな・・・?
携帯の待ち受けを開き、何も変化が無いことを確認すると、
私はまた携帯を鞄の中に仕舞い込んだ。
「、次だよほら、何所に座る?」
「あ、一番前!」
何時の間にか順番が回ってきていて、不二君が私に声をかける。
私は即答すると不二君と一緒に最前列へと座った。
「やっぱりは一番前に座ったみたい!ほら、あたし達は一番後ろに座るよ・・!」
「ば、バレませんようにぃ〜〜〜!!」
「大丈夫大丈夫!もし出会ったら、偶然を装えば良い話よ」
内輪話をしながら、と不二に気づかれないように、最後尾に座ると菊丸。
そんなことにはちっとも気づかずに、は今か今かと胸を弾ませていた。
ブーーーー
『此れより、発車いたします』
アナウンスが聞こえ、ゆっくりとジェットコースターが動き出した。
ガッタンガッタンと音を立てながら上へと上っていって、私は不二君を見る。
不二君はいつもと同じ面持ちで楽しそうだった。
「不二君、絶叫系恐くないの?」
「うん、平気だけど?」
不二君がにこっと笑ってそう言った瞬間、勢い良くジェットコースターは滑り落ちた。
後ろから「うおーーー」とか「きゃーーー」とか聞こえる。
すると「わ〜〜〜〜!!!!!!!」と聞き覚えのある声が聞こえた。
・・・・・今の声・・・・って・・・・に似てた
私はくるっと後ろを振り向いて見たが、らしき人は発見できなかった。
・・・何かの間違いかな?似たような声なんて、沢山いるか・・・
少々気になる点を残しながら、私達の乗ったジェットコースターは元の場所へと到着した。
「楽しかったね!」
「うん、そうだね」
私はジェットコースターから降りながら不二君に言うと、不二君は私の鞄を取ってくれた。
出口の階段を降りて、次に私達が向かったのは可愛いカフェハウス。
・・・・・・・・・そう言えば、もうお昼なのだ。
私は携帯で時刻を確認すると、不二君の後を歩いた。
「いらっしゃいませ、二名様ですね?どうぞ此方のほうへ・・・」
お店に入るとさっそく店員さんに案内されて、いすに座った。
お水とメニューを差し出されて、私は其れを見る。
「色々美味しそうなのがあるね〜」
「そうだね、どれにする?」
「んっと・・・・オムライスかな・・・?」
「じゃあ僕もオムライスかな」
そう言うと不二君は決まり次第、店員を呼んで、オムライスを二つ注文した。
私はその姿を見ながら、一口水を飲んだ。
本当に夢みたいだ。今までは見てるだけの存在で、其れが知らないうちに不二君と仲良くなって。
告白して・・・・一回フラれたけど、なんか付き合うことになって。
そして今、大好きな不二君が目の前で笑ってる。
自分って、本当に幸せ者だよなぁ・・・。と、思った。
目が合って、不二が微笑む。
一瞬、私の胸が高鳴って、ゆっくりと照れ笑いを浮かべた。
「、此れ食べたら次は何に乗りたい?」
「んー・・あのブランコみたいなのが良いな!」
「OK」
こうして、私の意見を尊重して、合わせてくれる。
彼氏の鏡・・・・とも言える人だ。
そんなヒトと付き合えて、私は幸せ者なのだろう。
文句を言ったら罰が当たる。
だけど・・・・こんな時にも、手塚君のことを思い出すのは・・・如何してだろう。
「手塚君のほうに惚れた?」
不意にのあの言葉が脳裏を過った。
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