*milk06.5


きっとあたし達、世界で一番幸せ者だね
 
 
 
それから周助はあたしの別れてからもずっと好きでいてくれた事、あの同窓会は周助の気持ちを知った同級生達(主に菊丸君だ)が開こうといって企画してくれた事、色々聞かせてくれた。事実を聞いて、思い出す同窓会開催メールでのやり取り。絶対来れる?と何度も何度も確認を取らされた。
それに当日のあの異様な空気。
あたしと周助が別れた事実を知らなかったわけじゃなく、再度くっつけよう作戦だったのだと同級生達の顔を思い出し、そこでようやく納得。結局知らなかったのはあたしだけだったんだと気付いたけれど、今も昔も温かな旧友達に、やっぱり感謝するのだった。
 
さんにも随分協力してもらったかな。
 
周助の苦笑に、また驚いた。と言う事は、だ。もグルだったんだね。言うと、バツが悪そうに周助が自白した。
 
「あーもう。ほんとに知らないのあたしだけだったんだあ」
「未練がましくてごめんね」
「誰もそんなこと言ってないじゃない」
 
むしろ、あんな別れ方したのに、今でも好きでいてくれたことが嬉しくてたまらない。今度こそはを幸せにするから。とまるでプロポーズなんじゃないかと勘違いしそうになる台詞に、
 
「あたしも、今度こそ周助を諦めたりしない」
 
ぎゅっと繋いだ手のひらが、強く強く結ばれて、笑い合う。ふと周助の足が止まり、向かい合う体勢になると、周助が繋いでいる手の反対の手であたしの左手をそっと取り、ちゅっと、キスを落とした。慌てふためく間も与えず、周助がにこりと微笑んで
 
「いつかの此処に指輪贈るから。そのつもりで居てね?」
 
言われて、先ほどのキスが薬指に落とされたと気付いて、あたしは頬を染めながらこくんと頷くのだった。
 
 
 
数日後、229日の周助の誕生日に、キラリと光る婚約指輪が渡された。周助の誕生日の筈なのに、これじゃああたしの誕生日みたいだよ。言うと、違うよ。だって指輪(これ)を受け取ってくれた時点で、僕は世界で一番欲しいモノを貰えたんだから、ってまるであたし周助のモノ扱い?と不貞腐れると、クスッと笑ってごまかすようにキスが落とされた。それだけで、まあ周助になら所有物扱いされても良いかな。なんて思ったのは内緒の話。
 
そして、あたしの29歳の誕生日には、29年間慣れ親しんだか不二へと変わるのだけれど、それはまた少し先の話。
 
 
 
 
 
「汝、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
 
 
ずっとずっと、貴方を愛しています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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