二日遅れのバレンタイン
「で、」
「う、あはい!」
「いつまで隠してるつもり?」
「へっ?!」
「チョコ」
そう言って不二君はわたしのカバンを指さした。ドクンっ!って心臓が高鳴る。すると不二君はわたしの髪の毛を触りながら「さっきから甘ったるいチョコのにおいがそこからするよ?」ってクックと笑う。13日に渡せずじまいだったチョコレート。持ってきたわたしは鼻が麻痺してるためか気付かなかった。羞恥に顔が赤くなって、わたしは反論の言葉を呑み込んで、ゆっくりとカバンを開けた。
「………ハイ」
「……ほんとにもってたの?」
「え!だ、だって匂うって!」
「冗談だったのに」
さっきとは別の意味で爆笑されてもうわたしの顔いつ爆発してもおかしくないよ!
「ひ、ひどっ!」
「ごめんごめん、ただ、僕の願望だったの。やっぱりのチョコほしいなーって」
だからちょうだい?そう言って小首をかしげる不二君は、変かもしれないけど、すごく可愛い。ツボをつかれてわたしは右手で鼻と口を覆った。それから静かにチョコレートを不二君の手に渡す。
「ありがとう」
「……う、ん」
にっこりほほ笑んだ不二君の顔が見れなくってふいって顔をそむけたら「また顔逸らす」って不二君が笑った。
「ね、これ、本命?」
「あ、当たり前っ」
「本当に?」
「嘘、ついてどうするの?」
「ねえ、じゃあちゃんとこっちみて言ってよ」
ぐって肩を引き寄せられて、わたしは反射的に不二君の顔を見た。
「ほ、本命だよ」
言って恥ずかしくなって、わたしはやっぱり不二君の顔を見ていられなくって視線をそむけると、不二君が朝のようにわたしの顔を掴んだ。
そしたらすぐ近くに不二君の顔があって、にって笑った不二君の顔を目に焼き付けて、口と口が触れあった。
「う、あ!」
「ふふ、目そむけないでって言ってるのにそむけるから罰だよ」
そう言って不二君はいたずらに笑った。
「ね、良い事考えた。が目そむける度にキス一回、どう?」
「そ、そんなの!わたし、不利だよ…っ!」
「なんで?」
「だ、だって…不二君の顔、ドキドキして、見れない…っ」
「ふふ、かわいい」
結局、キスされる運命なんじゃないの!
でもそれも嬉しいって想ってることは不二君には秘密にしておこう。
― Fin
あとがき>>バカップル誕生の図
2009/02/16