「ごほごほごほ」
「ちょっと、こっち来ないでくれる?」
「この時期に風邪をひくなんて最悪だな」
「帰れ!気分が悪くなるぜ」
みんな酷いや。
全員集合だっていうから来たのに、ちょっと咳しただけで俺自身がバイキンみたいに扱いやがって。
追い払われた俺は、あてもなく冬空のカップルを避けるように端っこを歩いた。
「ゴホゴホ」
咳は止まらないし、きっと熱だってあるはずなのに、家に帰りたくない。
輝くイルミネーションのせいかな。
それにしてもここのクリスマスツリー、斜めになってない?
あれ、グルグルまわって…
「キャー!」
遠くなる意識のなかで、見知らぬ女の悲鳴がきこえた。
「吉さん、点滴お願い」
「はい」
浮上してくる意識と共に聞こえてきた声。
意識を失う前に聞こえた甲高い声とは違い、心地いいメゾソプラノの声だ。
「起きられましたか?」
「…」
「あの、どこか痛いところはありますか?」
「…」
「頭、痛くありませんか?」
「…」
白い白衣を着た、清楚な女性。
白衣の天使とはこのことなのか、なんて目の前にいる天使を見ながら思った。
俺はまだ夢のなかにいるのかと、勘違いさせるほど綺麗な黒髪に整った顔。
風邪のせいなのか、この女性がきれいすぎるのか、動悸が止まらない。
俺が返事を返さないことに眉を寄せ、小さく「打ち所がわるかったのかしら…」と呟いた。
打ち所が悪いほうがまだいいよ、俺にとっては目の前にいるお姉さんのことばかり考えてしまうほうが大問題だ。
「お医者さん、俺はシャルナークっていいます。」
「シャルナークさんですね。わたしは・です。頭を打っているようですし…今日は念のため、病院に泊まっていってくださいね。」
「さんもいる?」
「すいません、深夜は担当が変わりますので…」
「じゃあ泊まらない」
「え!?あの、じゃあとりあえず、点滴しましょうか。」
「さんって彼氏いる?」
「えっと…」
「答えてくれなきゃ、点滴しない」
「はぁ…いません。答えましたから、点滴しましょうね」
きっと俺、彼女に恋をしたんだ!
そうじゃなきゃこんなにドキドキしないし、点滴のために触れる白くて細い指を意識して顔が赤くなるはずないし!
そう気づいてしまったら気は楽だ。
「じゃあ俺、さんを好きになってもいい?」
「へ!?」
「っていうか、さんの事好きになっちゃったから。」
「シャルナークさん、じょ、冗談は…」
「冗談じゃないよ。」
俺、軽そうに見えて意外に一途なんだから。
そんな気持ちもこめて、さんをみつめる。
だけどさんは、大きな目を伏せて、俺から視線を反らした。
結構ショック…。
「診察は終わりました。お大事になさってください。」
「さん、おれ、」
「吉さん、次の患者さんを、」
「は、はい。」
俺は本気なんだ。
決して今日がクリスマスだから焦ってるってわけじゃないんだよ?
「さん、好き。」
「わたしは、」
「医者としてじゃなくて、一人の女てして答えて。」
「…わたしも、一目見た時から…んっ」
我慢できなくて、唇を押し付けた。
柔らかい唇を噛んで、何度も角度を変えてキスをする。
甘い、甘い味がした。
「好き・・・です」
MerryX'mas!!
「ゴホゴホ(移された…)」
「はい、お粥だよ。アーン」
****
081224-25 シャルナーク/フリー夢
日頃の感謝をこめて…
HONEY@JEWELRY/蜜嘉様
****
フリーだったので頂いてきちゃいましたvvわたくし、蜜嘉様の書くシャルがとても好きですvバイキン扱いされるシャルが好きです。猪突猛進なシャルは大好物ですvv素敵なクリスマスプレゼントをありがとうございました♪
おいしく頂きますvvv なこ