ノストラダムスの大予言!
その後!




「……結局、ノストラダムスさんの予言、外れちゃったねー」
「まあ、そんなモンでしょ」

あの日約束してくれたように、寿ちゃんはほんとにあたしと最後の日(になる予定だった)を過ごしてくれた。夏休み真っ只中で、大好きな野球したかったはずなのに、寿ちゃんはあたしの最後(になるはずだった)の我儘を聞いて色々連れまわしてしまった。それなのに、その日一日散々騒がれたのに、カウントダウンまでしたのに、結局次の日を普通に過ごしてる。その次も、またその次も。もしかしたら、日にちがずれているのかもしれないなんて、考えて、7月いっぱいはドキドキしっぱなしだったと言うのに。

気がつけば、八月も半ば。

「あたしのココ数日のキンチョーはなんだったんだよぅ」

ノストラダムスさんのばかぁ。小さく呟くと、寿ちゃんは【夏の友】(こんな友達、イラナイ!)から顔をあげて「、勉強するって今日は集まったんじゃなかったの?」厳しい口調。勉強の事になると、とことん鬼だ、寿ちゃんは。ちょっと自分が…いや、だいぶ?かなり?頭が良いからって。あたしはまだ半分も残っている夏の友を見つめて、ため息。

「だって、なんかひょーしぬけで…やる気でないんだもん」
「……、そんなこと言ってたら終わらないよ。夏休みももうあと少しなのに、全然手つけてないじゃない」
「…!だって!だってね!ノストラダムスさんが、今年の7月地球は滅亡するなんていうから、じゃあ夏休みの宿題しなくていっか!って思っちゃったんだもん!」
「……………」

あ、寿ちゃんかなり呆れてる。でも、これはあたしが悪いんじゃない。ノストラダムスさんが悪いんだ。あたしに変な期待なんて持たせるから。そりゃあ、ほんとに地球最後にならなくって良かったとか思ってるけどー…でも、それとこれとは別なのだ。

「ほら。バカなこと言ってないで。宿題終わらすよ」
「………」
、返事は?」
「…ふあーい」

不貞腐れたように言ったら、寿ちゃんはしょうがないなって風にため息をついて(完璧、呆れてる)それから、机の向かいからあたしの方に手を伸ばして、ぽんぽん、とあたしの頭を撫でた。その仕草が完璧子ども扱いしてるってわかってるけど、寿ちゃんにされるなら悪くない。されるがままにじっと寿ちゃんを見つめると、寿ちゃんはさっきの厳しい口調とは裏腹に

「ほら、早く宿題終わらせて、遊ぶんだろ?」
「…」
、行きたいところまだまだ沢山あるって、言ってたろ?」
「…」
「…が頑張ったら、ご褒美あげるから」
「ほんとにっ!?」

あ、つい。ごほうびにつられて声を出してしまった。そうすれば寿ちゃんはクスクス笑って、「ほんとほんと」って言うから、なんかだんだん恥ずかしくなってくる。「寿ちゃん、あたしのこと幼稚園児かなんかだと思ってるでしょう…」恨めしく声を出せば寿ちゃんはやっぱり笑いを含んだ声で「そんなことないよ」って言った。でもそんな風に言われても、全然説得力無い。「ほら。やろう」

「……」
「ココでずっと勉強と向き合っていたいなら良いけどね?早く終わらせれば外に遊びに沢山行けるんだよ」
「……やるもん!」

でも結局意地張ったって、どうやっても寿ちゃんには勝てない。それなら、正論を言う寿ちゃんの言葉に素直に従った方が良い、とあたしの直感が言った。それから、大嫌いな宿題と向き合う事になるのだけれど、頑張ってやったごほうびだよ、って寿ちゃん家の帰り道(遅いからって送ってくれた)に、ちょっと寄り道してアイスキャンディーを買ってくれた。時々厳しいけど、やっぱり優しいそんな寿ちゃんが大好きです。だからね、やっぱり、地球滅亡しなくって良かったかなって思うのでした。

「何、笑ってるの?」
「幸せだなーって」
「…アイスキャンディー一本で?」
「ちっがうよ!寿ちゃんと、こーしてまた一緒にいられることがだよ!ノストラダムスさんの予言、ほんと外れて良かったねーー!」
「……てゆうかずっと気になってたけど、その"ノストラダムスさん"って何?なんでさん付けなの?」
「え?だって、年上はうやまわなくっちゃいけないってせんせー言ってたでしょ?」
「……そう(…だからってさん付け?…まあ、良いけど)」





 





2010/01/08

ノストラダムスの大予言その後。何が書きたかったかって言えば、宿題やる気でないよねーってなってるヒロインを時に厳しくでもやっぱり結局は最後甘くなっちゃう寿也を書きたかったって事です!(…)